チラシの裏からうっすら見える外枠の外のメモ書き

新聞に挟まってる硬い紙のチラシの裏からうっすら見える外枠の外に走り書きされたようなものです。思いついたときにふらふらと。

学生目線でのBYOD経過報告 前期中間

私の学校では、一部でBYODを試しています。

昨年度から、紙面などで保護者向けに通知があり、晴れて今年度から実際にノートパソコンを持ち込んでの授業が行われています。

今回はこれまでで感じたBYODに関することを、学生目線でご紹介します。

ただし、ここに書く内容は一個人の感想であり、全体の総意ではありません。

 

 

学校のコンピュータに縛られなくなった

これまで校内でコンピュータを使用するためには、総合情報処理センターへ行き、そこでコンピュータを起動しログインする必要がありました。これらのコンピュータは特殊な仕様で動作しており、起動に概ね10分かかり、場合によってはそれ以上かかるか全く起動しないこともありました。

しかし、個人でコンピュータを所持しているとそういった特殊な仕様は存在しないので、各々のコンピュータ性能によって起動速度が変化します。総合情報処理センターのコンピュータのように起動しないということはめったに発生しなくなるため、余計なストレスがなくなりました。

 

授業のやり方が変化した

論理回路といった理論的教科ではその状態を想像したりノートに書いて考えるしかありませんでしたが、ソフトウェアを使うことにより動的な変化がわかりやすくなりました。

以前はスクリーンにそのソフトウェアを映し全員に見せていたため、一部の学生からは見えづらく、またわかりづらいものでした。

しかし、各自がノートパソコンを所持しているとそれぞれの画面で確認することができるため、全員が動きなどをしっかり確認することができるようになりました。

また、各自で自由に変更もできるため、学生の「なんだろう」という思いをそのままにせず、自由に確かめることができます。

全員の授業態度が劇的に改善されたとは言えませんが、授業での理解度には変化が現れるのではないかと感じます。 

 

時間を有効に活用できるようになった

私の通う学校はその地理的要因から市外から通学する学生が数多くいます。近くを通るJRは利用者がそれほど多くないことから普通列車は上り/下りそれぞれ1時間に1本しかありません。結果的に学生は長時間学校にとどまることになります。

その時間でレポート課題やプログラム課題を行うには、個人でノートパソコンを所持していなければなりません。

全員がノートパソコンを所持することが必須となった今では、電車による通学を行う学生をはじめ、多くの学生が残ってレポートを作成したり、プログラミングを行ったりしている他、実験を教室内で行うことができるため、いちいち実験室まで移動する必要がなくなり、効率的に実験を行うことができ、時間を効率的に使うことができるようになりました。

 

 

一方で、様々な悪い点も見つかりました。

 

使用状況の確認ができない

それぞれのコンピュータは学校の所有物ではなく、個人の所有物です。そこに授業で必要なソフトウェアをインストールすることを要求できても、逆に何らかのソフトウェアのインストールを禁止することはできません。学校では特定のWebサイトへのアクセスは遮断されているので校内で行うことはできませんが、校外においてそれらは自由です。好きなようにソフトウェアのインストールが可能です。

また、全員の進捗を確認したくても、コンピュータを監視するソフトウェアのインストールを強制することは理想的ではないので、直接見て回るか学生に聞くしかありません。

その他、ゲームなどをインストールし、それを授業中にしていたとしても気づくことはなかなかできません。

 

 環境が整っていない

今年度から始まったBYODですが、残念ながらBYODのための環境が整っているとはお世辞にも言えません。先程紹介したように、学生の状況の確認がしづらいこと以外にも、物理的な問題も依然として残ったままです。特に現時点で致命的なものは、教室内のコンセントが不足しているという点です。

最近のコンピュータはかなり性能も向上し、処理速度だけでなくバッテリー持続時間も延びてはいますが、それでも授業で長時間使い続けるには充電や給電が必要です。教室内にはおよそ9個のコンセントがありますが、それだけで学生45人+教員のコンピュータの電力を賄うには少し不安が残ります。

教室内にはそれなりの数のコンセントと延長ケーブルを配備しておくべきだと感じます。

 

コンピュータやソフトウェアが統一されていない

学校側から、コンピュータは特定の機種を購入するよう求めるのではなく、一定以上の性能であればよいという案内でBYODが始まりました。確かに特定の機種に限定されず、自由にコンピュータを選ぶことができれば既に所有しているコンピュータを転用することができ経済的負担も少なくなります。しかし、実際に授業で使用してみると、性能差やそこから発生する様々な問題が頻繁に発生しています。

まず、OSの統一が行われていません。

一般にOSはWindowsを使うことが理想でしたが、中にはmacを購入した学生もいます。そういった場合、使用できるソフトウェアが違うため、授業での説明がやや難しくなります。

また、性能も一定以上であればよいということから、高いコンピュータを購入した学生は高性能なものを、一方で比較的安いコンピュータを購入した学生は低性能なものを使用しています。

そのため、高性能なコンピュータを使用している学生は、高機能なソフトウェアを選択して使用できますが、それほど性能のよくないコンピュータを使用している学生は、最低限の機能を持ったソフトウェアしか使用できません。

すると、それらのソフトウェアによって仕様の違いが発生してきます。

現時点でそれが顕著なのはC言語の授業です。

C言語のプログラミング及びコンパイルには、学校ではbcpad及びBorland C++ Compilerを使用していますが、一部の高性能なコンピュータを使用している学生は、Visual Studio 2017 CommunityとVisual C++ Compilerを使用しています。

これら2つのコンパイラには仕様差があり、一部のプログラムコードによっては実行結果が大きく異なってしまいます。

試験でも学生の所有するコンピュータを使用したことにより、試験返却で混乱が発生しました。

 

 

以上のように、BYODによりメリット、デメリットがもたらされました。特にメリットの中でも校内のコンピュータを使用しなくてもよいこと、時間を自由に使えることは今回のBYODでの大きな成果と言えるでしょう。一方で、使用環境が整っていなかったり、コンピュータやソフトウェアの統一が行われていなかったりと、問題点は数多く残っています。

今回の紹介内容はごく僅かでしたが、参考になれば幸いです。