僕の妻は感情がない 08のアンケート回答
杉浦 次郎「僕の妻は感情がない 08」を購入して読みました。
いつも読者アンケートに回答しているのですが、KADOKAWAのサイトがメンテナンス中でアンケートに回答できないのでブログに投稿します。
可能な限りアンケートの設問に合わせていますが、忘れてしまっているものや住所年齢など個人情報に関するものは省いています。
この投稿はネタバレを含みます。
購入書店
e-honで一般書店から購入した。
好きな話数
50話
好きな登場人物3人
- マモル
- ミーナ
- ニーナ
購入に至る経緯
著者のX(Twitter)を見ていて第一巻から購入しているから。
感想
ネタバレがあります。
今回は一番好きな話数を決めるのがとても難しかった。 50話以外にも、51話や52話にも魅力的なシーンが数多くあるためだ。 第8巻はカバーにも大きく描かれたマモルの成長がメインで、誕生からここまでの成長をともに見てきた一読者として大変感慨深い。 人型のマモルが可愛らしく、かつ自由闊達な見た目になってくれたので、見ていると元気になってくる。 とはいえタクマやミーナの関係も引き続き見ることができると嬉しい。
48話のニーナは人間のリサと暮らしていく上で、いつの間にか生きる理由になっていたところが良かった。 今回の出来事を通じて、ニーナは独りではないということが明らかになった。 「タコちゃんも我々も孤独ではなかった」ことはまさにそのとおりだと感じた。 アニメでもニーナが描かれていて嬉しかったし、今後もマンガでニーナやおっちゃんが登場するところが見れると嬉しい。
49話はマモルとジョンのコミュニケーションとタクマの母とジョンのコミュニケーションの関係が良かった。 マモルにとってジョンはまさしくそっくりな存在で、人間にはここまでそっくりな人はなかなか存在しないので、人間にとってはなかなか想像しがたいなと思った。 この世界では一般的なロボットであるジョンが、マモルから学んだ微妙なしぐさをタクマの母とのコミュニケーションに取り入れているところも良かった。 このシーンを見ていて気付いたが、マモルは触られることが非常に多い。 これはマモルがコロコロとした小さい球体だからで、小さい子どもを撫で回す親に近いのではないか。 50話でアカリとの会話から不用意に触られることはいけないことを学び、更に人型へと変わっていくマモルが、今後タクマとどのようにコミュニケーションするかがとても気になる。 また49話ではマモルを人型にするかどうかをタクマとタクマの母が相談する話があったが、人型にすることと介護してもらうことは直結しないと感じた。 現代の介護ロボットが人間と同じ形をしていないように、人間を助けるには必ずしも人型である必要はないと思われる。 マモルがタクマのことを心配しないということは、マモルの関心がタクマではなくなることを意味する。 タクマがマモルに何を期待しているのかは気になる。 介護の話が出てきたのは、タクマの両親も介護などの老年期を意識しているのかなと思った。
50話では先に書いたマモルの「触られること」についての成長が見られたが、とりわけミーナのアルバムに対するリアクションがとても良かった。 これまでミーナはタクマが喜ぶことをしていたが、ミーナがアルバムを見たときのリアクションはタクマの反応に影響しない。 つまりミーナの中に自己認識できない何かがあることになる。 以前ミーナはタクマとの写真を撮るとき、ミーナ自身に備わったカメラによって撮影していた。 しかし50話では、ミーナはカメラを買って撮影することをタクマに提案している。 人間の「愛しい」という感情を、ミーナは「家族の写真を撮る」ということで形作ろうとしていると感じた。 それにしてもアカリの悪いことを企んでいるような表情は本当に面白い。 アニメでは表情だけでなく声の表現もとても良かったので、アカリはアニメでもとても好きなキャラクターの1人だった。
51話はマモルの人型での成長の第一歩として発話を覚えるシーンがとても良かった。 マ行を覚えたことを示すためにミーナと呼ぶところは本当に素晴らしい。 ミーナにとっては調理のため全てに付き合っていられず、反応がやや雑になっているところがコマの大きさや配置で表されていると感じた。 そんな中、マモルがミーナと呼ぶ大きなコマには目を留めずにはいられなかった。 発音を覚えるのはコミュニケーションをするためではあるが、その中でミーナの名前を呼ぶということは相手を認識しているということの証でもある。 これまで意識することなく発話していたマモルは、いわばまだ喋れない赤ん坊が親を認識していることに近い状態だと考えられる。 今回、マモルは口という器官を手に入れたことで、まさしく「名前を呼んだ」ことになったのだなと感じた。 ミーナに褒められたマモルの嬉しそうな顔を上に向ける仕草を見ると、読んでいる私も嬉しい気持ちになる。 このあとにタクマの名前は呼ばれたのか、ちょっと気になる。 そしてミーナが「マモルはタクマの次に大切な存在である」とした理由を説明するところで、しばらくミーナが考え込んだのはとても興味深い。 タクマが喜ぶことを使命とするミーナにとって、タクマの大切な存在であるマモルは重要であることは間違いない。 しかし、ここでミーナとマモルの優先順位を考えた結果、マモルが優先されたのである。 ミーナシリーズと人型のマモルとの耐久性の差を理由とすればいいはずだが、そうならなかった。 ミーナは名前を呼ばれたことで、マモルとの優先順位が入れ替わったように感じた。 畳や雨など、これから様々なことを更に知っていくマモルの話も楽しみ。
52話はマモルがやりたがっていたサッカーをついにできたところが良かった。 マモルが自分のやりたいことを優先したところから、タクマのもとから離れて自立した1人の人間のような存在に近づいているように感じた。 幼い子供は親の監督の下で親の意向に従って行動するが、いつかは自分の意思で行動するようになる。 小学校は自立を促す場の代表例で、実際に多くの子どもは小学生ごろから徐々に自立が進んでいく。 マモルがタクマなどの周りの大人からの指示にただ付き従うだけではなく、しかし友達の意見を取り入れたうえで行動するようになったことは本当に素晴らしい成長だと感じた。 そしてタクマの働く会社の人は優しい人ばかりで安心したし、先生もとてもいい人で良かった。
53話では久々に絵里栖が見られて良かった。 タクマを警戒しているところは相変わらずだが、モモの誕生によってロボットに対する考え方が変わったことは興味深い。 絵里栖は誰かにとって特別であることを「人間である」と形容しているが、これは絵里栖なりの「大切」の形なのだなと思った。 モモの親以上に親バカになっている絵里栖が見せる表情はどれも良かった。 そして絵里栖が「ロボットなんかいない」と言ったときにミーナが見せた怪訝な顔も良かった。 おそらくほとんどの人がミーナと同じような反応をするのではないかと思った。 とはいえ、絵里栖が抱えていた葛藤がある種の決着をつけたことについては喜ばしいとしか言いようがない。 モモが成長し、絵里栖の親バカがどうなっていくのかが今から楽しみ。
表紙の描き下ろしマンガも良く、特にロボット同士のパートナー関係がサラッと登場したところには大変驚いた。 また彼らロボットから見て、タクマとミーナの関係もまた不思議な関係なのだと気づくところも、笑えると同時にここまで読んできた読者に客観的な見方を与えていてよかった。 アニメも大変素晴らしく、特にロボットと人間がどのように暮らしていくのかを視聴者に問いかける良い作品になっていると感じた。 全体的にやや駆け足気味だったのは少々残念ではあるが、ロボットととの幸せのカタチの1つを示すことができていたと考えている。 アニメにしかできない表現もあり、見ていて本当に楽しかった。 杉浦先生もアニメ化に喜ばれていたが、私もアニメ化されて本当に良かったと思っている。 今回アニメ化されなかった話の中にもお気に入りのものが数多くあるので、二期も期待したい。
杉浦先生のXでの告知を見ました。 しばらく休載されるのは大変残念です。 しかし別の作品などもPixivなどで公開されるとのことですので、そちらを楽しみにしたいと思います。 またいろいろな世界を見せてもらえると大変うれしいです。 これから寒くなってきますが、どうかくれぐれもご自愛ください。